事務所便り
公正証書遺言
昨日、税理士会成田支部の研修として千葉公証人合同役場より公証人の平尾雅世先生にお越し頂き、「遺言公正証書の作成を嘱託する際の留意点等」をテーマとした研修を開催いたしました。税理士が関与することになった場合の具体的手続きや書類作成上の留意点などを中心に、実務に即応した講義をして頂きましたこと、改めて感謝申し上げます。
公正証書遺言を作成するのは、子供の兄弟仲が悪いとか富裕層に限定されたものと思われがちですが、それ以外でも公正証書遺言を作っておけば良かったというケースは少なくありません。
例えば、少子高齢化が進んでいる近年に多いのですが、お子さんがいらっしゃらないご夫婦の場合、ご両親が亡くなられていると配偶者以外の相続人は兄弟姉妹となります。
兄弟姉妹が高齢であると亡くなられているケースもあり、この場合、甥や姪が相続人に加わります。
配偶者が全ての相続財産を承継する遺産分割協議書を作成したとしても、甥や姪が実印を押してくれるとは限りません。会ったこともない甥や姪となると、なおさら相続財産を分配することに抵抗を感じる。
逆に、兄弟姉妹からすると血族ではない配偶者に先祖代々の土地等が相続されてしまい、二度と自分たちが立ち入れなくなる可能性も出てくるため、口を挟まずにはいられない。
昨年、最高裁判決を受け民法900条4号ただし書前半部分が削除され、非嫡出子も嫡出子と同じ相続分とすることになりましたが、現在婚姻関係にある側の配偶者としては、納得いかないという声は多いようです。浮気をした夫と相手との間に出来た子に自分の子供と同等の相続分を分配することに、平常心で応じられるか。
逆に非嫡出子の立場からすれば、最高裁判決にあるとおり法の下の平等を保障した憲法に違反しているのだから、同等の相続分をもらって当然と考えるでしょう。
先手必勝。世知辛いですが、遺留分対策として、又は事業承継対策として公正証書遺言は有効な手段となります。
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