事務所便り
自宅庭でアオチャセンシダを発見
以前、南アルプスの北岳登山で紹介したアオチャセンシダが、なんと自宅の庭で見つかりました。アオチャセンシダは主に森林限界を超えた高山帯に生育するシダ植物のため、千葉県での自生は確認されておりません。
標高2,000m〜3,000mの環境とは似つかわしくない千葉県の気候、特に夏場は猛暑で高山帯の植物が生育できることが奇跡としか思えませんが、実際に生育しているため推測してみることにしました。
まず、発見場所の庭ですが、夏場の暑さを防ぐ狙いから通販で購入したスナゴケを敷いていたのですが、そのうち自然とゼニゴケやイヌシダ、イノモトソウ、カニクサなどコケ・シダ植物が増えてきました。つまりシダ植物が生育しやすい環境は整っていたようです。また、発見場所の近くには新しいブロック塀があるため(これにより半日陰)、雨水で石灰分が溶け出しアオチャセンシダの好む石灰岩地に近い状況になっていたのかもしれません。
ちなみに購入したスナゴケの産地は購入先HPによると秋田県南部と岩手県北部。栽培場所は里山で標高は低いものの豪雪地や寒冷地で、佐渡島でもアオチャセンシダが生育していることから、栽培場所周辺にもアオチャセンシダが生育している可能性があります。
今のところ、自宅庭へやってきたルートとして、スナゴケシート説と登山靴付着説の2つを考えております。
前葉体から胞子体の成熟個体まで成長するのに5年はかかるとのことですが、写真のように成熟個体のため5年近く経っていると思われます。スナゴケシートに紛れていたとすると、購入したのは平成26年の夏なので、すでに前葉体ではなく受精後の若い胞子体くらいには生育していた可能性があります。
その他、千葉県の温暖さで3年ほどで一気に胞子体まで成長したという仮説が成り立つとするなら、私の登山靴に付着した胞子が偶然庭のスナゴケに移動し、生育したとも考えられます。しかし、この登山靴付着説はちょっと厳しい仮説ですね。
葉裏にはソーラスがあり、晩秋か初冬に胞子がまかれた可能性があります。この胞子が前葉体となり胞子体まで生育してくれれば完全自然繁殖達成です。もし数年後に発生してきたらご報告させて頂きます。
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