成田 富里 税理士 『税理士法人 成田綜合事務所』

新着情報

フィンテックその後1

今年はフィンテックの普及に相当力を入れまして、個人法人含め相当数のクライアントにおいて実用化されることとなり、ご協力頂きました顧問先様には改めて感謝申し上げます。
実際、フィンテックの話をすると、拒絶反応を示される方、メリットデメリットについて詳しく説明して欲しいと言われる方、楽になるなら是非にも導入したいと言われる方、先生が言うならいいよ〜(笑)というように様々な反応がありました。

フィンテックを導入するに際しては、一つ困難な山がありまして、ネットバンクへ申し込みをした後パソコンにてネットバンクへの設定をしますが(既に利用されている方は不要)、さらにマネーツリーのソフトにて設定をしなければならない点。途中で分からなくなり銀行に問い合わせても、フィンテックの技術は銀行にとってはライバルですから基本まともに対応してくれません。また、マネーツリーのソフト会社もお粗末なもので、連絡しようにもネットのみで電話対応しておりませんからあてになりません。
マネーツリーの設定方法が銀行ごとに異なることが最大の問題でして、お客様からの質問に答えられるよう、私自身なかなか答えてくれない銀行から上手く情報を引き出して、設定までスムーズにできるノウハウを積みました。こういうノウハウも数年経てば意味のない作業となりますが、変革期というものは、どのような形態であれ必ず起きる作業ですし、インターネット草創期に嫌という程味わっていますので大した苦労ではありません。最終的には二桁の銀行の登録方法をマスター出来まして、パターンも分かってきたため、現在は全国どの銀行でも設定は可能です。これだけ素晴らしいフィンテックという技術であるのに、設定が手作業とローカルなのが何とも言えません。
現在は、ご自身で設定が出来るようにメールや電話にてマニュアル等やり方を事前にお知らせするようにしておりますが、それでも設定が分からない場合は、私か職員が伺い設定する形をとっております。基本的に9割以上の方は設定できるようですので、問題は無いように思います。

消費税率の引き上げに伴う間違いやすい点2(農業関係)

10月決算の農業法人やこれから確定申告を控えている個人の農家の方が注意すべき点を記載して行きます。
10月以降の食用となる農林水産物の売上については、簡易課税制度に係るみなし仕入率が70%(第三種事業)から80%(第二種事業)に引き上げられましたので、1年間70%にて計算しないようご注意ください。
また、JAに委託販売する際、従来であれば、その課税売上高の計算については、売上高から販売手数料を差し引いた純額処理が認められておりましたが、売上高は軽減の8%、手数料は10%となったことにより消費税率が異なってしまったため、別々に計算する総額処理へと変更になりました。従って、簡便な純額処理が使えなくなりましたので、基準期間の課税売上高も上がりますから、課税事業者か免税事業者かの判定の際には注意が必要となります。

消費税率の引き上げに伴う間違いやすい点(家賃の取り扱い)

間違いやすい点につきましては、前回の5%から8%へ消費税率が引き上げられた際と同様になりますが、改めて記載させて頂きます。
家賃を支払っている場合の前払い家賃部分についてですが、9月決算法人が間違いやすいですので注意が必要です。家賃の翌月分を今月末日までに支払う契約の場合、9月末までに支払う家賃に係る消費税は8%と10%のどちらになるのか。
建物の賃貸借は借地借家法32条(借賃増減請求権)の規定が適用されますので、契約内容に関わらず、事情変更があった場合には、賃料の変更請求をすることができます。ただ、消費税の経過措置とは別個に借地借家法は考える必要があります。
経過措置によれば、建物の賃貸借契約において、賃貸する者がその貸付に係る対価につき、事情変更その他の理由により増減するすることができる旨の定めがないときは、その契約は経過措置の要件を満たし8%のままとなりますが、実際には、物価変動等による賃料増減の条項は契約内容に含まれておりますから、経過措置が適用されるケースは少ないものと考えられます。
従いまして、基本的には10%として処理することになります。

日税連公開研究討論会・ホテル日航金沢

発表前日に、全国の各単位会で税制改正意見書を担当している調査研究部のメンバーが集まり、相続税の課税方式と民法改正により新たに出てきた配偶者居住権等をテーマとした部会が実施され、参加してきました。
相続税の課税方式や配偶者居住権につきましては、公平性や評価についての議論になるかと思いきや、地域性が色濃く反映された意見を数多く聞くことが出来て、非常に有意義な討論会となりました。

公開研究討論会金沢
第45回日税連公開研究討論会・ホテル日航金沢にて
今回は近畿税理士会が「地方税の現状と展望」、北陸税理士会が「税による富の再分配機能を検証する」をテーマとして論文発表が行われました。北陸会につきましては、私が千葉県税理士会に広報掲載用原稿を書いた関係から少しコメントしますと、テーマ選定の理由として、まず「格差社会の問題」を取り上げておりました。この格差問題への対応は、主として富の再分配機能を有する社会保障による給付や税による徴収がありますが、近年この税による富の再分配機能が低下しているとの分析結果から、所得税・消費税・相続税のジニ係数等の統計データを活用して現状と問題点を確認し、格差是正の方策として提言がなされておりました。
テーマにもある富の再分配機能は、税の持つ役割であり根本部分であるとともに、多くの国民にかかわる題名に取り組み、その存在自体にメスを入れ分析検討したことは、大いに評価されるものと思われます。

金沢駅構内ゴーゴーカレー
ゴーゴーカレー
昨年、新潟で公開研究討論会が実施された際、新潟市はカレーが有名だということを聞き、バスセンターのカレーやイタリア軒のご当地カレーを食べてきました。そして今回の金沢ですが、こちらもカレーライスが有名とのことで、金沢駅へ到着してすぐ構内にあるゴーゴーカレーへ寄りました(後に東京や千葉にも店があることを知り、ショックを受ける)。
場所柄、観光客が多かったのですが、案外地元高校生たち(男女問わず)が普通に食べているのが印象的で、友達とくつろぎながら食べている姿は微笑ましく、地元に愛されているカレーなのだと実感しました。

金沢城
金沢城
討論会の翌日はいつも登山をするのですが、今年は忙しく調べる余裕がなかったため、定番コースの観光地を巡ってきました。たまにはお城や神社、お寺もいいものですね。ただ、革靴だと結構足にきてキツかったです。

兼六園、アカマツ
兼六園
一番目を引いたのが、このアカマツ。手向松または御花松と呼ぶそう。これほど放射状に伸びた躍動感ある枝ぶりのアカマツは見たことがないため、ついつい見とれてしまいました。
普段の仕事では直線しか視界に入って来ないので知らず知らずに疲れてしまいます。自然界は曲線のみで直線は存在しません。なるべく事務所にも癒される自然界の曲線を取り入れたいですね。

のどぐろラーメン
のどぐろラーメン・ABRI
昼はチャンピオンカレーを考えていたのですが、「のどぐろ煮干しラーメン」というインパクトあるのぼり旗が武家屋敷跡へ向かう途中にありました。通過しかけて、エッ何それ?と足を止める。ゲテモノ?好きの私としては、食べないわけにはいきません。頭の中もカレーからラーメンに映像が切り替わってしまったので、店に入ることに。
なぜか女性客が多く、ラーメンを作っているのも女性でした。写真の通りヘルシーな見た目。魚の臭みが鼻につきますが、本場の豚骨ラーメンに比べれば大したことはありません。つゆは程良い旨味と塩気があって疲れた体に染み渡る。全て飲み干してしまいました。面白いラーメン、ご馳走さまです。

長町武家屋敷跡
長町武家屋敷跡
武家屋敷は全国に色々ありますが、ここ金沢のものは茶色い土塀と石垣、石畳の道が特徴的ですね。
こちらには野村家を筆頭に高田家、足軽資料館、金沢市老舗記念館など見学箇所も多くありますが、一般の方が住んでいる家にも武家屋敷があるため区別が難しく、間違って入ってしまうのでご注意を。

主計町 かずえまち
主計町茶屋街
金沢の観光スポットとして有名なひがし茶屋街の近くにあります。グーグルのナビに小道があったため進んでみると、写真のように趣きある街並みが現れてきました。狭いエリアですが、ひがし茶屋のように混んでいないのでお勧めです。

コウタケ、ホウキタケ
近江町市場で買ったキノコ
左がコウタケ、右がウスムラサキホウキタケと言いますが、両方とも狙って採れるキノコではありません。左のコウタケはかなりレアなキノコで、名前の通りとてもいい香りがします。売っていることにビックリしました。コウタケはキノコご飯にしようと楽しみにしておりましたが、家で調理をしようとしたところ虫が凄くてほぼ食べる部位が無く断念。ウスムラサキホウキタケはキノコご飯を6合分作って職員に振る舞いましたが、皆んなチャレンジャーでちゃんと食べてくれました(笑)。一応、美味しかったので、また作ってくださいとは言われました。

会社の解散・清算

会社をたたむにあたっては、それぞれ個々の事情があるわけですが、社会保険の未加入会社が年金事務所からの督促でその負担額を知り、支払う事が出来ないため個人事業を検討するケースも多いです。
さて、その際に現在ある会社をどう整理すべきかという問題が生じてくるわけですが、皆、解散・清算をするかというと、実際には休業という形を取るケースがほとんどです。
会社の解散・清算は、各段階で法人税申告と登記が必要となり手続が複雑になる他費用もかかるのに対し、休業ではそれら手続や費用がかかりませんし、復活も可能です。
そのため税理士や司法書士のアドバイスとしては、一般的に休業を進めるのですが、それでも解散・清算をしたいと希望される方もいらっしゃいます。

解散・清算は不動産等の残余財産がある場合には、実行の難易度は高くなりますが、資産が現預金のみである場合は比較的スムーズに手続きは進められます。同族会社に特有の税務リスクとして挙げられるのは、社長借入の債務免除を実施するケース。青色の繰越欠損金を使ってもなお債務免除益が残っている場合で、これを消すためには期限切れ欠損金の損金算入制度を利用します。ただし、残余財産がないと見込まれることの証明を正確にやらなければ、多額の法人税が課税されるリスクがあるため細心の注意が必要です。

税理士会の研修会講師

JR成田駅前にある成田市文化芸術センターにあるスカイタウンホールにて、以前出版した本の資本取引に係る章の研修会講師をしてきました。

成田市文化芸術センター
新しくとても綺麗でした。私が税理士会成田支部の研修部長をしていた時代は公津の杜コミュニテイセンター内のMORIMORIホールにて研修会を実施しておりましたが、現在は支部に近いこともあり成田市文化芸術センターにて実施しているとのことです。

民法改正(配偶者居住権、遺産分割、遺言、遺留分)

平成30年7月6日に民法(相続法)等を改正する法律が成立致しました。
主な内容は以下の通りです。

1配偶者居住権の保護
(1)配偶者居住権の新設
配偶者の居住建物を対象として、終身又は一定期間、配偶者にその使用を認める法定の権利を創設し、遺産分割等における選択肢の一つとして、配偶者に配偶者居住権を取得させることができるようにする。
(2)配偶者短期居住権の新設
配偶者が相続開始の時に遺産に属する建物に居住していた場合には、遺産分割が終了するまでの間、無償でその居住建物を使用できるようにする。

2遺産分割
(1)配偶者保護のための方策
婚姻期間が20年以上の夫婦間で、居住用不動産の遺贈又は贈与がされたときは、持戻しの免除の意思表示があっったものと推定し、被相続人の意思を尊重した遺産分割ができるようにする。
(2)仮払い制度等の創設
相続された預貯金債権について、生活費や葬儀費用の支払、相続債務の弁済などの資金需要に対応できるよう、遺産分割前にも払戻しが受けられる制度の創設。
(3)相続開始後に共同相続人の一人が遺産に属する財産を処分した場合に、計算上生ずる不公平を是正する方策を設ける。

3遺言制度
(1)自筆証書遺言の方式緩和
自筆でない財産目録を添付して自筆証書遺言を作成できるようにする。
(2)遺言執行者の権限の明確化
(3)公的機関(法務局)における自筆証書遺言の保管制度の創設

4遺留分制度
遺留分減殺請求権の行使によって当然に物権的効果が生ずるとされている現行の規律を見直し、遺留分権の行使によって遺留分侵害額に相当する金銭債権が生ずるものとしつつ、受遺者等の請求により、金銭債務の全部又は一部の支払いにつき裁判所が期限を許与することができるようにする。

5相続の効力等
相続させる旨の遺言等により承継された財産については、登記等の対抗要件なくして第三者に対抗することができるとされていた現行法の規律を見直し、法定相続分を超える権利の承継については、対抗要件を備えなければ第三者に対抗することができないようにする。

6相続人以外の者の貢献に係る方策
相続人以外の被相続人の親族が、被相続人の療養看護等を行なった場合には、一定の要件のもとで、相続人に対して金銭請求をすることができる特別寄与の制度を創設。

※民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律の施行期日は,原則として,公布の日から1年以内に施行される(別途政令で指定します)こととされていますが,遺言書の方式緩和については,平成31年1月13日から施行され,また,配偶者の居住の権利については,公布の日から2年以内に施行される(別途政令で指定します)こととされています。

仮想通貨のハッキングに係る補償金の課税関係

いわゆるコインチェックのハッキングに係る補償金の取扱いが、昨日国税庁より公表されました。
補償金が課税か非課税かの点については、「仮想通貨を売却したことにより金銭を得たのと同一の結果となることから、本来所得となるべきもの又は得られたであろう利益を喪失した部分が含まれている」と考えられ、非課税の損害賠償金ではなく雑所得として課税されることとなりました(所法35、36)。
なお、損失の場合には、雑所得同士での内部通算が認められる旨の記載がありますが、損益通算が出来ないことは従来通りです。
今後、同様の事例が生じるかは不明ですが、仮想通貨取引は株式や先物取引の分離課税ではなく総合課税です。予想外の利益が出てしまった場合に、様々な節税対策を利用する上でも青色申告書を提出できる所得構成にしておいた方が何かと有利です。詳しく知りたい方は是非ご連絡下さい。お待ちしております。

参考)
国税庁 No.1525仮想通貨交換業者から仮想通貨に代えて金銭の補償を受けた場合

仮想通貨の税務上の取扱いー現状と課題ー 税務大学校研究部教育官 安河内 誠

平成30年度税制改正大綱

与党による平成30年度税制改正大綱が14日に発表されました。中小企業や個人において、特に注目すべき改正項目を列挙しておきます。

1 個人所得課税
(1)給与所得控除の見直し
 ① 控除額を一律10万円引き下げる。
 ② 給与等の収入金額が850万円を超える場合の控除額は、195万円。
(2)公的年金等控除の見直し
 ① 控除額を一律10万円引き下げる。
 ② 公的年金等の収入金額が1,000万円を超える場合の控除額は、195万5千円
(3)基礎控除の見直し
 ① 合計所得金額が2,400万円以下の場合、控除額は48万円。
 ② 合計所得金額が2,400万円超2,450万円以下の場合、32万円。
 ③ 合計所得金額が2,450万円超2,500万円以下の場合、16万円。
 ④ 合計所得金額が2,500万円超はゼロ円
(4)所得控除に係る合計所得金額要件の見直し
 (3)の改正により、配偶者控除、配偶者特別控除、扶養控除、勤労学生控除の合計所得金額要件を見直す。
(5)青色申告特別控除
 ① 正規の簿記の原則に従って記録している者の青色申告特別控除額を55万円(現在65万円)に引き下げる。
 ② e-TAXによる申告書を提出している等一定の要件を満たしている場合には、控除額は65万円。
(6)家内労働者等の事業所得等の所得計算の特例
 (5)の改正により、必要経費に算入する金額の最低保障額を55万円(現在65万円)に引き下げる。

2 資産課税
(1)事業承継税制の特例の創設等
 非上場株式等に係る贈与税・相続税の納税猶予の特例制度の創設
 後継者が、経営者から贈与・相続・遺贈により非上場株式を取得するなど一定の要件に該当する場合には、その取得した全ての非上場株式に係る課税価格に対応する贈与税又は相続税の全額について、後継者の死亡の日等まで納税猶予する。
(2)一般社団法人等に関する相続税・贈与税の見直し
 特定の一般社団法人等の理事が死亡した場合には、その一般社団法人等の純資産額のうち一定の金額を、死亡した理事から遺贈により取得したものとみなして、その一般社団法人に対し相続税を課することとする。
(3)土地の相続登記に対する登録免許税の免税措置の創設

3 法人課税
(1)中小企業における所得拡大促進税制の改組(所得税も同様)
 一定の方法により計算した賃上げ割合が1.5%以上であるときには、給与支給増加額の15%の税額控除ができることとする。
(2)収益の認識基準について
 従来から法人税法22条と通達による運用がなされておりましたが、今回の改正により法令上明確化する(IFRS関連)。

4 消費課税
(1)農林水産業の簡易課税制度について
 消費税の軽減税率が適用される食用の農林水産物を生産する事業は第2種事業とし、みなし仕入率を80%(現在70%)とする。
(2)たばこ税率の引上げ、加熱式たばこの課税方式の見直し

5 国際課税
(1)恒久的施設関連規定の見直し
 ① PE定義の見直しを行う。
 ② 租税条約上のPEの定義と異なる場合の調整規定等の整備。
(2)外国子会社合算税制等の見直し

6 その他
(1)森林環境税の創設
 市町村が実施する森林整備等に必要な財源に充てるため、平成36年度から年額1,000円を課する。
(2)国際観光旅客税の創設
 船舶や航空機により海外へ出国する一定の者については、出国1回につき1,000円を課する。

ビットコイン等の仮想通貨に係る個人の課税関係

ビットコイン等の仮想通貨に係る課税関係については不明確な状態が続いておりましたが、平成29年度の確定申告において混乱が予想されるためなのか、今月の1日に国税庁個人課税課から情報が公表されました。

仮想通貨の売却や仮想通貨による商品購入、仮想通貨の交換等に際しての取得価額は有価証券と同様に移動平均法や総平均法によることとされました。
言葉では分かりやすいよう簡易に記載されておりますが、1,000種類以上あるといわれる仮想通貨が、交換や分裂、マイニングにより日々増加している中、種類ごとに捕捉して取得価額を算定することが個人でできるのだろうか、という疑問は残ります。

個人の所得分類に関しては、原則雑所得とされておりますが、仮想通貨による収入によって生計が成り立っているなど客観的に明らかである場合等、事業として認められるときには、事業所得として分類されることとされました。この辺りは青色の特典や損益通算の可否の問題と関係してきますので、事業所得に分類される方は注意が必要です。

損失については、情報のとおり雑所得の金額の計算上生じた損失の金額は損益通算できませんが、雑所得と損益通算について誤認される方が多いように感じます。あくまで雑所得の金額の計算上生じた損失の金額が損益通算できないだけであって、事業所得の金額の計算上生じた損失の金額と雑所得による利益とは損益通算できます。
例えば、ビットコインの売却による利益が1千万円あり、太陽光発電設備の購入で即時償却(現在でも可能な法律あり)して1,000万円の事業所得の損失を出せば、当年の所得はゼロとなり税金もゼロです。
なお、仮想通貨において損失が生じた場合として、ハッキングにより仮想通貨が消滅する等のケースも考えられます。仮想通貨の種類によっては証明が難しいケースもあるかもしれませんが、被害前後の取引所の残高を保存するなど証拠書類は残しておく必要はあるでしょう。

今月アメリカのシカゴオプション取引所でビットコインの先物取引が開始されましたが、FXの証拠金取引のように先物取引に係る雑所得等として分離課税されるのか。この点に関しては、商品先物・金融商品取引法等に基づき行われる取引のうち適用対象が限定列挙されているため、仮想通貨の証拠金取引は、これらいずれにも該当しないことから対象とはならないとのことです。したがって、分離課税ではなく総合課税として申告することとなります。